春のタンまつり「いまこそわかれめ」
みなさん、こんばんわ。
「たすいち春の短編まつり」の振り返り、本日は「いまこそわかれめ」
自分が出演した作品。今回ちょっとネタバレあります。真っさらで見たいよーって方はご注意くださいませ。
出演は僕と大森さつき。こちらも劇団員チーム。
喫茶店を舞台にした、高校生2人によるおしゃべり劇。
たすいち以外で幾度も上演されてる作品で、僕も去年、めっちゃん主催の公演でやりました。その時は劇団員の細田こはるちゃんが相手でした。
何度も上演されている作品だけにやる方としてはそれなりにプレッシャーがありました。特に一度やっているものなので、やるからにはそれ以上を目指さなきゃって気持ちになりますしね。
桐場が男で諏訪が女というのがスタンダードな作品なのですが、今回は桐場をさっちゃんが、諏訪を僕が演じました。つまり男女逆転。作品としては男女逆転でも女女、男男でも成り立つもの、去年のめっちゃん主催のものでも男女逆転パターンはありました。ちなみに去年こはちゃんとやったのはスタンダードなタイプで、僕は桐場を演じました。
一度やっている作品、とはいえ相手が代われば見える景色は変わってくる。しかも以前とは逆の役、アドバンテージはあれど、ほぼ初めましての感覚でのスタートでした。
相手のさっちゃんと、一つ一つ積み上げていくように作っていった作品。本番までの過程は決して楽なものではなかったけれど、だからこそのやり甲斐はあったし、さっちゃんとああでもないこうでもないと意見交換しながら作り上げていくのは楽しい時間だった。
結果出来上がった「いまこそわかれめ」は、本来のものより少し長めのものとなった。それはこれまでに上演されている「いまこそわかれめ」を見たことある方からしたら、少し違和感があったかもしれません。ただ、これは諦めや投げやりではなく、結果として僕らが行き着いた「いまこそわかれめ」の形が今回のものとなったということで、僕としては満足なものであったので、それがお客様の満足に繋がっていたらいいなと願うばかりです。
本番中、とても不思議な感覚に陥った。桐場との会話が終わって欲しくないと思ったのだ。いつまでもこの喫茶店でだらだらたわいもないことをしゃべっていたい。でも作品には終わりがある。しかもその終わりがいつくるかも小太刀自身は知っている。しゃべればしゃべるほど終わりに近付いていく。しかし変にスピードを緩めるわけにはいかない。果たしてこれは諏訪の気持ちか小太刀の気持ちかわからない。でも一つ言えるのは、さっちゃんとの会話がすこぶる楽しかったのだ。
桐場と諏訪はどうして友達になったのだろう。男と女の友情。僕は結構信じているんだけど、たしかに同性同士の友達のなり方とは少し違うシナリオが必要かもなと思う。
去年桐場を演じた時は、そもそも友達自体が少なくて、諏訪とは何か腐れ縁的な繋がり、幼馴染に近しいような関係性があったのかなと想像していた。
今回の諏訪は、決して友達が少ない方じゃないんじゃないのかな、男女問わずゆるく繋がれるタイプじゃなかなと想像した(劇中で、狭く深い友達が多いと言っているけれど)。そんな中で特に桐場と仲がよくなったのは、波長があったからという抽象的な理由じゃないかなと思った。何か劇的なきっかけがあるでなく、たまたまなんとなくふとしたきっかけでシンパシーを感じ、一緒にいて落ち着くなって感じ、かといって恋愛対象として見るわけでなく、居心地のよさでつるんでいるというか。
上で、同性同士の友達のなり方とは少し違うシナリオが必要かもと書いたにもかかわらずなんとも成り行き任せな友達のなり方だけれど、逆に波長が合うっていうのは僕の中では、この上なく特別な関係性だと思っている。これは公式見解でなく、あくまで僕個人の考えです。あしからず。
「いまこそわかれめ」。喫茶店でふと耳に入ってきた隣の席の会話をなんとはなしに聞いてしまうように、そんな気軽な感じで楽しんでもらえたら嬉しいです。
(写真:奥山郁)