小太刀賢のアーティチョーク茹でました

役者・小太刀賢が、日記のような週記のような、日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくるブログです

一人の人間にとっての小さな一歩

みなさん、こんばんわ。

 

本日、「ファースト・マン」を見た。

2018年の映画。史上初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングの伝記映画。「ララランド」で有名なデイミアン・チャゼル監督の作品で、主役はこちらも「ララランド」と同じでライアン・ゴズリング

「ララランド」が大好きなので、映画公開当時からみたいなと思っていた。思っていたけれど結果として今見るということになった。

 

物語は1960年代、アームストロングがNASAジェミニ計画(月面着陸の前段階のもの)に関わる少し前から、アポロ11号で月面着陸するところまでを描いている。

 

この映画の面白さとして、作りがドラマチックではないってのがある。ニール・アームストロングは、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」で有名な、初めて月面を歩いた宇宙飛行士。アメリカでは英雄である。だから映画として作るなら、英雄である側面を強調したり、月面に行くっていうことをドラマチックに演出しておかしくない。でもこの映画はそうでない。アームストロングの人間的な部分や家族のこと、宇宙飛行の難しさを淡々と丁寧に描いている。

 

例えば宇宙に行くっていうことになると、そのミッションの凄さばかりに焦点がいきがちだ。でもその凄さの裏には日常があって、危険な宇宙飛行を心配する家族がいる。この映画では、その残される家族にもしっかりフォーカスが当たっているし、父親としてのアームストロングという部分もちゃんと描かれている。

そして、物語の進み方が伝記として、効果を盛りすぎることなく淡々とした感じで進んでいく。月面着陸するまでにはそれなりの波乱万丈があるけれど、それをことさら目立たせることはしない。月面着陸のシーンですら、月面の荒涼さや月から見える地球の美しさを強調していない。そこは一要素としてさらっと済ませている。

 

この日常への視点と淡々とした物語の進み方が相まって、自然と見入ってしまう緊張感を生まれている。そしてその緊張感が、月面に着陸する瞬間に向けてふつふつと盛り上がっていく。この盛り上がりは、過度な演出があったとしたら感じられない類のものな気がする実感のある盛り上がりで、そこがこの映画の1番の面白みでした。

 

ニール・アームストロングの物語はもうすでに多くの人が知っているもの。だから映画がどう進むかはある意味わかっている。それでも飽きずにむしろ前のめりで見てしまうのが、この映画の凄さだなと思ったのでした。

 

そう、昔家で飼っていた犬の名前がルナで、月の女神から取った名前でした。だから月に関することって、ついつい気になっちゃうんですよね。