小太刀賢のアーティチョーク茹でました

役者・小太刀賢が、日記のような週記のような、日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくるブログです

春にしてあの日に近づく

みなさん、こんばんは。

 

今日はとても気持ちのいい天気ですね。

すっきりと晴れわたっていてそれでいて暑くなくちょうどいい、舞台初日にこんないい日とは、ありがたい話である。

家を出ると爽やかな春の匂いがして、気持ち心踊ります。軽くスキップしたくなっちゃうくらいに。

 

そういえば匂いって、記憶に結びつきやすいっていいますよね。たしかに、あっこの匂いって思った時には、その匂いと関係ある事柄が思い出されたり、逆に、記憶は朧げなのに匂いだけは鮮明に覚えていたり。

部活帰りの金木犀の香りとか、軒下で嗅いだ雨の匂いに心淋しさを覚えたり、すれ違った人のわずかな香水の匂いにはたと立ち止まったり…

そういえば、今住んでいる部屋の匂いが最近実家の匂いに近くなってきて、懐かしい気持ちとともになんだか物悲しくもあり嬉しかったりしている。

 

その人それぞれの、特別な匂いというか記憶に結びつきやすい匂いってあると思いますが、僕にとってのそれは、今の時期より少し前の春のはじまりに感じる匂いです。どんな匂いかって具体的に説明できないのですが、緑や花の香りをしっかり感じられる春の匂いが少し烟っているようなイメージ。伝わるかな。

この匂いを嗅ぐと、胸がキュッとなるような物悲しさを感じる。

この匂いと結びつく記憶は大学2年生の春、演劇サークルの新歓公演を頑張っていた時。新歓公演は新しく2年生になった人が主体になってやるという、うちらの代が主になって作る初めてやる公演。だから感慨深いものがあるんですよね。それこそ青春、辛いことも楽しいことも十二分にあって、自分たちが演劇をやっているんだというのを初めて感じた公演なのでした。それが3月から4月頭にかけて稽古期間があったので、その時に匂った初春の香りが僕の頭に記憶と結びついて離れなくなったのでした。

 

大学2年生のあの時は、卒業しても芝居をするなんて微塵も考えていなかった。でも思えば、あれが本格的に演劇を考えたキッケケで、そんな同じ時期に今芝居をしていることは、なんだか人生の不思議を感じて面白い。

 

毎回春の匂いがすればあの時が思い出される。いまいちどあの時の気持ちを思い返して。

 

さぁ、初日明けました。

 

f:id:kantoku87:20190420232502j:image

(本番後の、気の抜けた自撮り)