春のタンまつり「消えたい二人」
みなさん、こんばんわ。
「たすいち春の短編まつり」、お楽しみいただけていますでしょうか。今週の23日までご視聴いただけますからね。買ったのに見るの忘れてた!って方、いませんか?
さて本日の振り返りは「消えたい二人」
ネタバレあるよ。今までもそうだったか。
出演者は、梅田優作、大森さつき、鍛治本大樹、菊池泰生、中田暁良、中村桃子、星澤美緒。
「あなたのひとみにうつらない」という短編が合わさって長編となる作品の一編だったものですね(正確にはラストが違うらしい)
消えたい二人とはあきすけ君とみなちゃん。この2人がどっちが消えれるかを競うっていう学園バトルもの。学生の一日に物語がぎゅっと詰まっている作品ですね。テンポよく、矢継ぎ早に色んなシーンがやってくる。情報量というか物語量が多く、その物語の海にのまれ流されていくのが心地よい。見る方は心地よいけれど、やる方としてはその波を生み出さなくちゃならないわけだから難儀だよなと思う。これも充分スポーツじゃないかなって思う。バスケやサッカーのようなパス回しが必要な作品だ。
中心は上に書いたあきすけ君とみなちゃんの2人で、それを演じるは泰生くんと美緒ちゃん。2人はもうえらい出力量だったよなぁ。でも2人の絡みは攻守の切り替えが小気味良くて、次はどうなる次はどうなるってわくわくして見続けちゃう。
泰生くんそのものがもつエネルギッシュさが、あきすけくんの消えたいという願望と合致して、見ている方にあきすけくんの必死さを伝えてくれる。ただ、普通そのエネルギーがあったらむしろ消えれない人物に見られてしまうけれど、そこは切り替えの妙といいますか、泰生くんが上手いことスイッチをパツパツ切り替えながら演じているので、そのキャラの外の顔と内の顔の良いコントラストとしてそのエネルギッシュさが利用されている。うまいハンドリングやわ。
相対する美緒ちゃんは、泰生くんの剛に対しての柔、ひらりひらりと力を逃し、今だという時に手痛い一発を繰り出してくる。まさにモハメド・アリ。
美緒さんはギアチェンジが巧みだ。緩やかにそして素早く、スピードを殺すことなくギアを細かく切り替えていく。その手際は惚れ惚れとしちゃう。あと体の使い方が好きなんだよなぁ。意志を感じる体の動かし方。僕なんかノリだったり無意識に手綱を任せ過ぎだったりするから、ああいう動かし方はすごく勉強になる。
あきすけくんのクラスメイト、男子のなかたくんと鍛治本さん。
なかたくんはさ、スマートな役なのに、いきなり出力をガッと上げる時があって、そういう時の差し込み方が秀逸だと思っている。出力が上がると、下手したら物語の違和感に繋がってしまうかもしれないけれど、なかたくんはそのゲージ調整とカットやフェードでの入り込みが上手い。そして気付いたらさっと引いている。押し引きの巧みさ。あと心がない時がやっぱりいい笑
鍛治本さんはもう語るべくもなく、あのキャラクター性がすごくいいですよね。見た目や第一声でもうキャラクターが説明し終わっている。都度都度説明する必要がないキャラクター性ってすごいのですよ。どうしたらああいられるのだろう…!あとはもうあの茶目っ気。あんなに全力な役でしかも遊び心持たせてって強いよなぁ。
女子生徒はももことさっちゃん。
ももこはやっぱり地に足がついている。キャラがふわふわ浮いていかない。ああきっとこういう役なのね、もしかしたら演じている中村さんもそういう感じな人なのかな、と感じさせる説得力があるんだよなぁ。役としては典型的であり、だからこそマンガチックになりがちなのに、なりがちの際で現実的。どういう作り上げ方なのかな。
さっちゃんはもう演じてないのでは、って思わせる親しみやすさがある。あ、このキャラと仲良くなりたいって感じさせるような、懐にすっと入ってくるしっくり感があるんだよなぁ。演じてるように見えないっていうのとは違うんだけど、漫画やアニメのキャラが現実となっと動いてる、みたいな「そこにいる」感がある。
そのクラスの担任の梅田くん。
他の作品では人一倍うるさかったのに笑、ここでは大人しい。といってみんなの後ろに回るわけじゃなく、大人しさの中の最大値でうるさくしている。みんなとは違うリズムで遊びを組み込んで、メロディに深みを出している。そしてアルピーの平子に似ている。
(写真:奥山郁)