「くう ねる あそぶ」
みなさん、こんばんわ。
昨日は金曜ロードショーの「もののけ姫」を見てブログを書きましたが、「もののけ姫」を見ると2年前に行った、「鈴木敏夫とジブリ展」を思い出す。
「鈴木敏夫とジブリ展」は、鈴木敏夫さんが集めた言葉や、彼の子供時代や徳間書店時代のもの、ジブリ作品の資料なんかが展示してあるものだった。そこに、ジブリ作品のキャッチコピーを紹介している箇所があった。そこにはもちろん「もののけ姫」のあの有名な「生きろ。」のキャッチコピーもあったのだけど、そのキャッチコピーが出来上がるまで苦労も展示されていた。
「生きろ。」の生みの親は、郷土の大先輩・糸井重里さん。
糸井重里さんとジブリといえば、「となりのトトロ」から「ゲド戦記」までのジブリ作品のキャッチコピーを担当しているし、「となりのトトロ」では声優までやっている。
ジブリ以外のキャッチコピーでいえば、「くう ねる あそぶ」、「おいしい生活。」、「おとなもこどもも、おねーさんも(これはゲームも作ってるしね」などなど。
そんなA級コピーライター糸井重里さんでも、「もののけ姫」のキャッチコピーができるまでには相当迷い道を歩いたみたい。
「生きろ。」とてもシンプルな言葉だ。キャッチコピーってことでなく、誰だって知っている言葉。難しい言葉は使われていない。それでもこの言葉は「もののけ姫」の真を捉えているように感じるし、いつまでも頭に残る言葉だ。
言葉そのものだけでいえば、僕だって考えつきそうなくらい簡単な言葉だ。でもその簡単な、この4文字に全てがこもっているというのは、考えれば恐ろしい話である。言葉を並べればその物語を説明することはできる。でも意味を伝えることはできない。たった4文字の研ぎ澄まされた言葉だからこその奥行きがそこにはある。
あの糸井重里さんだって悩んだり苦しんだりする。力のある人がなんでもかんでもちょちょいとできるわけじゃない。それに、単純なものには単純な労力しかかかっていないということもない。その裏には、途方もない時間があって、それはそのものを生み出すために考えた時間だけじゃなく、そこまでの人生の時間が乗っかってくる。見かけでわかるわけもなく、かといって勘繰ることがいいってことではない。良いも悪いも、すごいもすごくないもなくて、ただそこにあるそのものを邪推なく掬い上げることが大事なのだろう。そんなことを「鈴木敏夫とジブリ展」を見た時に感じ、そして「もののけ姫」を見る度にまた考えるのでした。