小太刀賢のアーティチョーク茹でました

役者・小太刀賢が、日記のような週記のような、日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくるブログです

モラトリアムライフ

みなさん、こんばんわ。

 

大学生の時、演劇サークルの公演に向けて脚本を書いていた同期が、旅館に缶詰になって書きたいと言いだした。熱海の旅館で缶詰になって書くから一緒に来て欲しいと。ということで、もう1人の同期と一緒に3人で熱海に行ったのでした。ただ付き添いのように行った熱海だから旅行というのとは違うし、かといって別に僕たちは缶詰になるわけじゃないから結局やることは観光のようなもので、その何方付かずな感じが大学生らしくて楽しかったなと、今思い返してもそう思う。

 

大学時代は気付かなかったし、その当時は生活にいっぱいいっぱいになっていた気がしていたけれど、思い返せばあのモラトリアムな、大人とも子供ともいえない状態で過ごすぽっかりとした空白期間は、何物にも代えがたいいい経験だったなと思う。勉学という部分では正直学んだことは少なかったけれど、それはもう反省だけれど、あの時経験したことや体験したこと、頭を捻って考えたことは、今生活する上での礎になっているように思う。

 

あと何よりは、大学時代に出来た友人との繋がりかな。上で書いた熱海に行った友達はいまだに交流があるし、演劇関係以外で連絡取るとしたら大学の時の友達だし、やっぱり気が合うのもその時の友達だ。なんなら、今所属しているたすいちの主宰のめっちゃんだって知り合ったのが大学時代だから、その繋がりのまんま今も付き合ってると言ってもいいのかもしれない。

 

子供のころ父親に、大学時代が一番楽しかった、その時の友達とはずっと付き合っていくよと言われた。だから大学生になるのが楽しみで仕方なかった。いざ大学生になってみて、その時は思い描いていた華やかなキャンパスライフとは少し違うなと思ったりもしたが、今になってみればやっぱり理想なモラトリアムライフだったなと思う。

 

だからたまに、もう一度大学時代を体験したいって思う。その当時に戻りたいわけではなくて、何者でもないのに何者にもなれるとどこかで信じていたあの時に今一度触れてみたいと思ったりするのだ。そういう時も、あるよね。