「7日間ブックカバーチャレンジ」⑤
みなさん、こんにちわ。
「7日間ブックカバーチャレンジ」、5日目の本日はこちらです。
「完璧な病室」小川洋子
小川洋子さんの短編集。
彼女の短編集は、薬棚に飾られている小瓶のような、ひっそりとしていて触るとひんやりするけれど、それでいてじんわりとした温かみのある、そんな感じがある。
あと彼女の短編集はどこか怖さがある。それも生々しい怖さ。人間が誰しも抱くであろう仄暗い部分、それが滲み出てしまっている怖さ。しかも本の登場人物はその怖さをどこか受け入れている。怖さ含めて人間であると、どこか達観しているように見える。
僕はこの小説を旅先で読んだので、ふんわりと旅の香りが刻まれている気がするのです。旅という開けたものの中に小川洋子の個が際立つ短編が紛れ込む、その感覚が心地よくて、ふとした瞬間にこの小説を手に取って眺めたりする。そういう、心の揺らぎにフィットした本なのです。